大手メーカー勤務のきのこです。
新卒で、大手メーカーに営業職として入社しました。
営業採用であっても、入社後1年間は、製造部での勤務が必須でした。
それぞれの立場を経験した中で、営業・製造それぞれの大変なところや、営業から見た製造・製造から見た営業という視点をリアルに感じてきました。
本記事では、メーカーにおける営業と製造の仲について解説します。
特に、これからメーカーで勤務される予定の方、またメーカーの経営層の方は、ぜひ最後までお読みください。
営業と製造は仲が悪い?
「メーカーは営業と製造の仲が悪い」という話を聞いたことがありますか?
私が学生時代にこの話を聞いた時は、「1つの会社なんだし、仲が悪くなる理由なんてあるの?」「大人なんだし、仲悪いってどういうこと?」と疑問に思っていました。
しかし、実際にメーカーで勤務してみると、その実態が少しずつ見えてきました。
確かに、仲が悪いのです。(笑)
これは、特に大企業に見られるセクショナリズムが原因と考えます。
セクショナリズムとは、簡単に言えば「自分の部署さえ良ければ良い」といった思想で、自部署の権限・利害に固執して協調・連携が失われた状態です。
営業・製造がお互いに、自分達に都合のいいように物事を進めようとしてきた結果、徐々に仲が悪くなったということです。
これは、長年にわたって積み上げられた負の遺産です。そう簡単に解消できるものではありません。
営業が製造に思っていること
まずは、営業が製造に対して思っていることを3つ解説します。
「納期を守ってくれ」
シンプルに、納期を守ってちゃんと納品してくれという要望です。
顧客から催促され、「もう少々お待ちください」と頭を下げるのは営業の仕事です。
営業からすれば、しっかりと期日通りに納品し、次の受注に繋げたいという思いもあるでしょう。
顧客からの要望が強い場合には、納期短縮依頼を掛けることもあります。
しかし、製造になかなか対応してもらえず、悶々としている営業も多いのではないでしょうか。
「不良品は勘弁してくれ」
メーカーにとって最も恐ろしいのが、不良品の流出です。
最悪の場合、損害賠償請求にまで発展することもあります。
不良品の責任は当然、製造側にあります。
しかし、実際に顧客のクレーム対応をするのは、これもまた営業の仕事なのです。
クレームの数だけ営業・製造の亀裂は深まると言っても過言ではないでしょう。
「仕事があるのは営業のお陰だ」
メーカーは、モノを作り、販売することで売り上げが生じます。
当然ですが、いくら作っても、売る人がいなければ利益はゼロなのです。
その視点から考えると、営業の頑張り次第で会社の利益が上がり、結果、製造の給料も上がるということができます。
この考え方から、営業の中には「仕事を取ってきているのは営業だ」「営業がいなければ製造もない」「製造より営業の方が偉い」と思っている人も少なくありません。
製造が営業に思っていること
次は、製造が営業に対して思っていることを3つ解説します。
「短納期/安売りの受注を取るな」
「納期が短すぎるような受注を簡単に取ってくるな」と製造は思っています。
早くしてくれと言われても無理なものは無理、納期対応できないのは製造ではなく営業の責任だ、という思いです。
また、製品を安売りされることに対しても不満を持っています。
一生懸命作った製品を安く売られては、薄利多売です。少しでも高く売れるよう努力しろというのが、営業に対する製造の主張なのです。
「受注に波を作るな」
製造にとっては、年間を通じて一定の生産量であることが最も望ましい状態です。
加工食品など、常に需要のあるものであれば、そう上下することはありません。
一方で、衣類などの季節ものの場合、繁忙期と閑散期の生産量に大きな差が出ます。
製造では、機械や人員を保有しています。
これらは、簡単に増やすことも、減らすこともできません。
つまり、突然の大量受注への対応は困難ですし、閑散期には機械や人員を持て余してしまうリスクもあるのです。受注に波を作らないでほしいと思うのは当然ですよね。
「製造の苦労を知れ」
ものづくりは、営業が思っているほど簡単なものではありません。
製造は、最も労災が起こりやすい現場です。
まずは作業者の安全が第一です。
更に、製品が顧客に損害を与えないよう、品質管理を徹底することが求められます。
また、会社の利益を最大化するために、材料や工程を見直し、コスト削減に取り組む必要もあります。
「こうした施策を営業にもっと分かってほしい」「お前たちもやってみろ」という思いが、製造にはあります。
改善方法
では、営業と製造の仲を少しでも良くするためにできることは何でしょうか。
① お互いの立場を経験させる
営業には製造を、製造には営業を経験させるということです。
お互いの努力や苦労を知らないから、不満が出てくる訳です。
全社員を対象にOJTなどで経験させてあげられたら良いのですが、なかなか難しいところもあると思います。
その場合は、管理職を優先的に経験させましょう。
管理職が互いに尊重できていれば、その下にいる社員にも波及することができるからです。
② 経営層がそれぞれの悩みを吸い上げる
経営層が、営業・製造それぞれの現場の悩みに真摯に向き合うことが必要です。
営業・製造の仲が悪い会社というのは、経営層がそれを見て見ぬふりをしているケースが少なくありません。
しっかりと向き合うことで、課題も明確になりますし、会社ならではの解決策も見い出せるかもしれません。
③ 社内ルールを明確にする
ルールが明確になっていないことで、営業・製造間の亀裂が生じているかもしれません。
「希望納期は何日以上で設定する」「製造はこの期日を確実に守る」などといったルールを改めて明確にし、運用していきましょう。
当然、状況によっては特別対応が必要になるケースもあると思います。
しかし、ルールがあるのとないのでは、当事者間のストレスは大きく変わることでしょう。
まとめ
繰り返しますが、大抵のメーカーでは営業と製造は仲が悪いです。
互いへの理解や尊重を通して、少しでも改善されるよう、努力する必要があります。
営業と製造の仲が悪いと、会社としてはデメリットしかありません。
少しでも協力し、利益を上げていけるよう、社内改革に力を入れましょう。
製造業に興味のある方向けに、工場勤務あるあるもご紹介していますので、併せてお読みください。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!