大手メーカーで商品企画業務をしているきのこです。
「1人1件、商品企画案を出しなさい」
このように上司に指示されたとき、あなたはパッと案を出すことができますか?
普段からたくさんのアンテナを張って、色んなアイデアを持っているという人であれば、困らないと思います。
しかし、「商品企画案を出せ」と言われて、短納期でイチから練る必要がある時、どんな視点で商品を考えたらよいか悩みますよね。
本記事では、「製造業に共通する商品企画ネタ出しのコツ・考え方」について解説します。
「何も思いつかなくて困っている!」という人にきっと役立ちますので、最後までぜひお読みください。
なお、「そもそも商品企画ってどんな仕事?」という方は、以下の記事を先にお読みください。
では、さっそく見ていきましょう!
商品企画ネタ出しのコツ・考え方 7選
① 新素材・新材料を使う
ひとつ目の考え方として、従来の製品を、新しい材料で作ることを検討してみましょう。
材料を変えるだけで、外観・風合い・手触りが変わり、場合によっては軽量化や強度UPが期待できます。
単純な発想だと思われるかもしれませんが、とても重要な視点であることを忘れないでください。
特に、近年は環境配慮・サステナビリティの観点から、再生材・植物由来・オーガニック・有害化学物質不使用といった材料が注目されています。
従来製品の素材や材料を見直し、こういった環境対応の素材や材料に切り替えていくことも、メーカーとして大切な企業努力・社会貢献のひとつです。
使えそうな素材や材料がないか、調べてみると良いでしょう。
② 足し算をする
これまでの製品に新しいアイデアを追加したり、既に出ているアイデアを組み合わせたりすることも、ひとつの手です。
良いものをより良くするためには、新たな機能や性能を足していくことが一般的です。
顧客に更なる付加価値を感じて頂くことができるからです。
日本の家電などは、まさに足し算で発展してきたと言えます。
また別の発想として、これまで真逆だと思われていたものを組み合わせることでも、新たな価値を生み出すことができます。
「ちゃんと」と「ラク」、「日本」と「海外」など、これらを組み合わせた時に求められる商品は何か、考えてみると良いでしょう。
③ 引き算をする
足し算とは逆に、引き算をすることも非常に重要です。
従来の製品には無駄なものがないか、本当に洗練された製品となっているか、改めて考えてみましょう。
引き算をすることで、環境負荷の軽減や、コストの削減が期待できます。
「あって当たり前」となっていた付属品や機能を、もう一度見直し、不要なものがあれば思い切ってなくしてみることです。
特に日本の家電には、十分すぎるほどの機能がついています。
ボタンも多く、操作が難しいと感じている消費者もいるかもしれません。
機能を減らすことは、消費者の満足度UPやデザインの向上にも繋がるということを覚えておきましょう。
④ 修理まで見据える
これまでは、3R(リユース・リデュース・リサイクル)と言われてきました。
しかし今、ここに2つのR(リフューズ・リペア)が追加され、5Rとして認識されてきています。
「リペア=修理」は、メーカーにとって非常に重要な視点です。
基本的に商品は、「販売して終わり」ではありません。
ひとつの良い製品をより長く使うことが、顧客にとって重要な価値のひとつになっていることを、改めて認識しましょう。
修理しやすい製品・充実した修理サービスというのは、「このメーカーなら安心」「このメーカーの物を使い続けたい」という顧客満足に繋がるのです。
「修理」という視点で、商品を生まれ変わらせることを検討してみましょう。
⑤ デザインを追求する
人は、美しいものに魅了されます。
言い換えれば、「デザインが良いものは売れる」のです。
これまで当たり前だと思われていた形状を見直すことから始めましょう。
「ドライヤーはL字型である」「はさみには指を入れる穴がある」これらは、果たして必須な形状なのでしょうか?
機能が同じであれば、よりシンプルで、洗練されたデザインの方が好まれるでしょう。
特に近年、SNSの普及により、「おしゃれ」「かわいい」「かっこいい」が爆発的に拡散される時代になりました。
こうした背景も相まって、現代は、「品質」「機能」に加え、もしくはそれ以上に、「デザイン」の重要性が改めて認知される状況にあります。
⑥ あえてターゲットを絞る
これも戦略のひとつですが、あえてターゲットを絞った製品を考えてみましょう。
普通であれば、製品を作る以上は「より多くの顧客に訴求したい」と考えるはずです。
ターゲットを広げ、万人受けする商品を出す方が、売れそうな気がしますよね。
しかし、時に「あえてターゲットを絞ること」も大切です。
そうすることで、ターゲットとなる顧客の購買意欲を最大化できるからです。
つまり、「卵かけご飯が大好きな人は、専用醤油を必ず買ってくれるだろう」ということです。
ただし、絞りに絞った結果、ターゲットが小さくなりすぎてしまっては本末転倒です。
ターゲットを絞った商品提案を具体的にする際は、市場調査を入念に行うことが必要です。
⑦ 材料や部品の兼用化を考える
これは主に、メーカー視点での提案内容となります。
材料や製品を兼用化することで、大ロット生産を実現できます。
大ロット生産においては、材料調達コスト・生産コストなどを最小化でき、生産効率が格段にUPします。
そして結果的に、納期の短縮に繋がり、顧客満足度の向上も期待できます。
特に、歴史のある企業においては、過去の製品が枝分かれして複雑化しているというケースも少なくありません。
これらを洗い出し、材料や部品を統合してリニューアルすることも、大切な商品企画の提案です。
最終製品に大きな影響を与えない範囲で、できる取り組みを考えてみましょう。
まとめ
一言で「商品」と言っても、「製品そのもの」であったり「サービス」であったり、世の中には多様な商品があります。
私はメーカーの商品企画ですので、「製品そのものを生み出す」という視点で7つのコツ・考え方をご紹介しました。
商品企画初心者という方が、まず持っておくべき視点ばかりですので、ぜひ参考にしてください。
また、商品企画プレゼンの流れや、テクニックについては、以下の記事をお読みください。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!