大手メーカーで商品企画業務をしているきのこです。
メーカーで商品企画業務を担っている人にとって、「新商品企画プレゼン」は非常に重要な仕事のひとつです。
仕事の醍醐味と言っても過言ではありません。
このプレゼンで、網羅された情報を提示することができなければ、商品化の承認をもらうことは難しいでしょう。
逆に言えば、網羅性の高い=説得力のあるプレゼンができれば、商品化への道は一気に開けます。
本記事では、「新商品企画プレゼンの内容に入れるべきポイント」を10個ご紹介します。
実際には、業界・商品によって、プレゼンに追加で盛り込むべき情報は変わってきますので、これをベースに必要な内容を追加していきましょう。
なお、「そもそも新商品が思いつかなくて困っている!」という方は、以下の記事を参考にしてください。
プレゼン内容に入れるべきポイント 10個
① 商品コンセプト
最も大切なのが、「商品コンセプト」です。
言い換えれば、「新商品を通して、どんな価値を社会に提供したいか」ということです。
「新商品の特徴」ではありません。ご注意ください。
あくまでも、「価値」について明確に設定することが重要です。
その「価値」によって、必要な製品仕様や販売方法などが変わってくるからです。
② 現状の課題・ニーズ
「社会に提供したい価値」の裏には、必ず課題があるはずです。
世の中にある商品では不足していること、社会の変化に伴って新たに出てきた需要・ニーズなど、「なぜその価値を提供することが必要なのか」を説明する必要があります。
これは、潜在ニーズでも構いません。
消費者自身もまだ気づいていない「隠れたニーズ」に対して、新商品を提案していくことも重要であるからです。
③ ターゲット顧客
新商品のターゲットとなる顧客を明確にしましょう。
現状の課題・ニーズが分かっていれば、自然と導き出されると思います。
ターゲット顧客は、広ければ広いほど良いというものではありません。
ターゲットを広げれば当然母数は増えますが、その分、顧客への訴求力が薄れてしまうからです。
分かりやすく言えば、「誰にでも売りたい商品は、誰にも買ってもらえない」ということです。
「年齢」「性別」「職業」「居住地」など、あえてターゲットを絞り込むことで、顧客に「この商品が自分にベストだ!」と感じてもらうことができます。
「卵かけごはん専用の醤油」が良い例ですよね。
④ 市場規模
ターゲットを絞ったら、その市場がどの程度の大きさなのかということも明確にしておきましょう。
これが分からなければ、新商品を生み出す意味があるかどうかの判断がつかないからです。
もし市場規模が小さすぎる場合、ターゲットを考え直す必要がありますよね。
市場の大きさに対して、新商品で狙っていく範囲(市場全体の何%を取りに行くか)も示すことができれば更に良いです。
⑤ 他社動向
他社の競合品との優劣はどうか、別の商品でその市場を狙っていないか、そういった情報も入念に集めましょう。
他社の脅威に対して、自社のどこが優れていて、どこが劣っているのかを、正確に説明する必要があります。
「新商品企画を通したい」という思いばかりが先走ってはいけません。
他社との比較は、もっとも冷静な判断が求められる部分だからです。
⑥ 商品仕様
ここからは、具体的な商品の情報に入っていきます。
まずは、「商品の仕様」です。
上記で設定したニーズを満たすために、また設定したターゲットに訴求するために、具体的にどんな商品を作りたいのかを示しましょう。
材料・製造工程・商品の機能・品質など、あらゆる角度から説明する必要があります。
具体的な試作品等があればそれを見せますし、なければ、設計図やイラストなどを使ってイメージを見せましょう。
視覚的に情報を与えることで、より具体的な商品化イメージを持ってもらうことが大切です。
⑦ 想定コスト・販売価格
その新商品を作るために、どれだけのコストが想定されているか、販売価格はどのように考えているか、といった情報も必要です。
市場にある従来品と比較した時に、コストが大きく上がるようでは、商品化はなかなか難しいかもしれません。
コストの内訳も、可能な限り詳細に出しましょう。
コストが高い場合、どこがボトルネックになっているか、コストを下げる余地がどこにあるのか、といった状況を把握するためです。
⑧ 利益
想定した価格でターゲット市場に商品投入した場合、果たしてどの程度の利益が期待できるでしょうか。
具体的な販売目標数量も定め、それを基に会社への利益インパクトを試算して示すことが重要です。
どれほど良い商品であっても、利益が出なければ、メーカーとして作る訳にはいきません。
また、特に近年注目されている「環境対応商品」などの場合は、「金銭面での利益」だけで判断するべきではありません。
新商品の市場投入によって、「企業イメージの向上」という隠れた利益があるからです。
「環境負荷をどれだけ軽減できるのか」「第三者認証を取得できるのか」といった情報も加え、「会社が社会に訴えることのできる価値」を改めて示すようにしましょう。
⑨ 販促方法
想定通りに、もしくはそれ以上に販売を伸ばすためには、販売促進が必須です。
広告の方法ひとつで、成果は大きく変わるのです。
どのように顧客の興味を引くか、購買意欲を高めるかという視点で考え、可能な限り具体的に販促方法を示しましょう。
商品企画プレゼンで販促方法にまで触れる人は、あまりいないかもしれません。
しかし、「商品化する前から、ここまで具体的なイメージを持っています」「こんなにも情熱を注いでいます」というアピールをするには、ここまで徹底する必要があります。
⑩ スケジュール
最後に、スケジュールを丁寧に説明しましょう。
新商品を市場に投入したい時期を示し、そこから逆算する形で、いつまでに何をするかを分かりやすくまとめることが求められます。
実務としては、商品開発・材料選定・顧客選定・サンプリング・販促準備など、全てを並行して進める必要があります。
当然、進めながら変更する必要も出てきますが、ベースとなるスケジュール作成にはしっかりと時間を使うことをオススメします。
まとめ
これら10項目を網羅したプレゼンができれば、「ちゃんとした商品提案」になることは間違いありません。
きっと、企画承認の可能性も高まります。
その上で、業界・商品に応じて、更に必要な情報を盛り込んでいきましょう。
BtoC商品であれば、「商品名称案」などがあるとより良いと思います。
最後に根性論ですが、最も大切なのは「情熱」が伝わることです。
企画者に情熱がなければ、商品は絶対に売れませんよ!
プレゼンのテクニックや、原稿の準備については、以下の記事で解説しています。
併せてお読みください。
あなたのプレゼンが上手くいくことを祈っています。
一緒に頑張りましょう!
最後までお読み頂き、ありがとうございました!